第4回理研鼎業イノベーションワークショップ
~自社内のイノベーション創出のためには何が必要か~
2023年2月17日、早稲田NEO(早稲田大学 日本橋キャンパス)にて「第4回 理研鼎業イノベーションワークショップ 自社内のイノベーション創出のためには何が必要か」を開催しました。第3回に引き続きオフラインの対面形式で実施され、企業の垣根を超えた活発なアイデア交換の機会となりました。 当日の様子をレポートします。
主催挨拶・参加者自己紹介
初めに代表取締役社長の油谷より開催にあたって挨拶をいたしました。
「理研鼎業は、国の出資機関である理化学研究所の研究・技術を実際の社会のイノベーションに繋げていくために作られた、理研の100%出資機関です。
今回のイベントは中小企業に所属する、実務担当の方を中心にご参加いただきました。
大企業、中小企業のどちらにせよ、将来のヴィジョンが見えづらい状況が続いています。
これからの時代を生き抜くためには、新しい研究や技術を取り入れる柔軟な姿勢が重要です。
今日のイベントを通して、イノベーション創出のためのノウハウを学んでもらい、皆さんがそれぞれの事業で活かしてくださることを願っています。」
続いて参加者の自己紹介を行いました。
単に名前や所属企業を述べるだけでなく、それぞれの社会人としてのバックグラウンドやプライベートな話題、今回のワークショップ参加の動機などを共有し合い、ワークショップを前に場の空気がほぐれる良い機会となりました。
オリエンテーション
オリエンテーションでは、参加者の方々に、イノベーション創出について具体的なイメージを描いていただくため、「イノベーション創出のあるある」と題して、どこの組織でもありがちな課題例を具体的に複数挙げて説明を行いました。
ワークショップ
いよいよワークショップの始まりです。今回は2チームに分かれて実施しました。
1チーム6名という規模感と、自己紹介で親近感を覚えていたことから、ほとんどの参加者が初対面でありながらスムーズに会話に参加されていました。
ワークショップにはイノベーション創出セッション「いのべ場」を用いました。
まずチーム内での情報共有として、イノベーション創出についての各社の現状や既存の取り組み、課題を報告し合います。
合わせてイノベーション創出と聞いてのイメージも発表し、チームで認識を共有しました。
次に個人ワークとして、テーマ分解を行いました。
これはテーマである「イノベーション創出」から連想する単語をサブテーマとして挙げ、さらに、そのサブテーマごとに関連する単語を羅列する作業です。このテーマ分解によって、新しい視点を得ることができます。
そしてテーマ分解で得られた要素から、新しいビジネスアイデアを検討。
ここまでを参加者それぞれの個人ワークとして行った後、チームでのアイデアディスカッションに移りました。
今回は初めてワークショップに参加される方ばかりでしたが、どちらのチームでも熱量の高いディスカッションが見られました。
全体共有
アイデアディスカッションの後、アイデア整理を行い、各チームでイノベーション創出のための新規企画を具体的に構築していきました。
その後、各チームのアイデアを全体で共有しました。発表内容を以下にまとめます。
Aチーム
イノベーション創出をより促進するためには、所属メンバーのモチベーションをアップさせる必要があります。
そこで、モチベーション上昇に繋がる方策のひとつとして、イノベーションを含めた技術・ノウハウに対して適正な報酬が発生する仕組みづくりがあると良いと考えました。
例えば、技術へのクラウドファンディングやNFT化というアイデアで、クラウドファウンディングやNFT化することによって、適正な報酬を得られるということだけでなく、技術の市場価値の上昇に繋がる可能性を高めることが出来ると思います。
また、市場ニーズと技術のマッチングのためには市場調査が必須ですが、市場調査には時間も費用もかかります。市場の課題のデータベースが存在すれば、各企業での市場調査の手間を省き、早期に市場と技術をマッチングさせることに繋がるのではないかというアイデアが出ました。
その他にも、オフ(業務外)の場のようにコミュニケーション出来る会議や競合他社との交換留学、同業他社合同での展示会など、企業の垣根を超えたコミュニケーションを取りやすくなる工夫があることでイノベーションが生まれやすい環境を構築できると思います。
今回のワークショップを通して社内、社外に限らず積極的にコミュニケーションを取ることで業界全体の交流と知識が深まり、さらなるイノベーション創出に繋がっていくと思いました。
Bチーム
自社に対しての理解を深めてもらうためには、自社のスキル、ナレッジを外部に向かって発信することが必要です。
最近ではWeb会議サービスの「Zoom」やVR(バーチャル・リアリティ)などの最新技術を用いることで、従来の取引先だけでなく、さらに広い対象に向けて自社の強みを発信することができます。
これらの仕組みを使い、オンライン会社見学会やデジタルコンテンツの配信、動画を用いて専門的な知識を一般向けに発信する、VRを用いた展示会ができるとよいのではないかというアイデアが出ました。
また、外部へのスキルやナレッジ発信と合わせて、内部のスキル、ナレッジをより強化することも重要です。イノベーション創出に対して、社内の理解を深める研修を実施したり、他社とも協同して互いの社員を出向させてスキルを磨いたり、大学院講座を受講したりといった事柄を取り入れることで、イノベーション創出の加速に繋がるのではないかと思います。
イノベーション創出には、風通しの良い人間関係もポイントとなります。例えば、外部からCEOを招く、積極的な中途採用や異業種交流を行うなど、外部の考えを取り入れ、イノベーションに対して前向きな雰囲気を醸成することも重要です。また、社内での仲間意識を高めるために、飲み会やランチ会といった業務以外のコミュニケーションの機会も大切という意見もありました。
感想・クロージング
最後に企業共創部長の山橋よりクロージングの挨拶を行い、閉会となりました。
参加者からは
「普段はアイデアを出しても、アイデアの非実現性ばかりに目を向けがちで、どうすれば実現できるかを考えることが少なくなっていた。そのため、ワークショップはポジティブな考え方になるための良いきっかけとなった」
「柔軟なアイデアを考えること自体が難しくなっているということが分かった。アイデアを出すこと自体にもトレーニングが必要だということに気付いた」
「ワークショップで他人とやり取りすることによって、アイデアが広がるというのが新鮮だった」
といった感想が挙がりました。
イベントで得られたアイデア自体だけでなく、アイデアを出すためのワークショップの手法も学びとなった様子です。今回のイベントが、事業イノベーションに活かされることを願っています。