NEDOムーンショット型研究開発プロジェクト ●Japanese / ●English
電気化学プロセスを主体とする革新的CO2大量資源化システムの開発(都市型DAC-Uシステム開発)
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プロジェクトマネージャーご挨拶
ご挨拶
かけがえのない地球を次の世代につなぐために、私たちは、あらゆる手段を尽くしてカーボンニュートラルの達成を目指さなければなりません。太陽光や風力による再生可能電力を大量導入することは、カーボンニュートラルへの最初のマイルストーンです。次に、私たちの社会生活に不可欠な燃料の脱炭素化に取り組む必要があります。バイオマスなどを用いた地産地消のエネルギーシステム構築と合わせて、我が国全体、世界全体の需要をカバーする脱炭素燃料として、再生可能電力により製造されるグリーン水素を合理的なコストで大量に流通させることが求められます。一方で、私たちの社会には、再生可能電力へのエネルギー転換やグリーン水素の導入という脱炭素への道を拓く2種の神器を最大限に活用しても、CO2の排出削減が困難な産業が存在します。この難敵に挑むための最後の技が、再生可能エネルギーを活用したCO2の回収と資源化です。
これまでの科学技術は、地球の持続性という境界条件を意識せずに、人類の「いまの」利便性を追求して規模を拡大してきました。化石資源については、地球の歴史の中で数億年かけて蓄積されてきたものを、産業革命以降100年ほどの間に加速度的に利用して文明を拡大してきました。その結果、気候変動の顕在化など、地球と人類の「未来に」危険信号が灯る結果となりました。私たち地球の構成員は、未来の問題を解決する新技術の研究開発を、学問領域や業界の壁を越えた総力戦で進めていかなければなりません。このような認識のもと、我々産学連携チームは、大気や建物内の空気からCO2を回収して、再生可能電力によりエチレン等の化学品原料に転換するムーンショットプロジェクトに全力で取り組んでいます。
我々チームの武器は、電気化学です。カーボンニュートラルを実現する2種の神器である太陽光発電と水の電気分解は、ともに電気化学に基づいています。その特徴は、中小規模から超大規模まで、様々なスケールでの社会実装が可能なことです。地球全体でカーボンニュートラルを達成するためには大量の再生可能エネルギー源が必須ですが、地球上にあまねく存在する再生可能エネルギーの特徴を利用して、私たちの身近なところにも地産地消のエネルギーシステムを導入できます。では、CO2を回収して資源化するカーボンリサイクルシステムは、私たちの生活の場にも導入できるのでしょうか?我々チームが得た答えは、イエスです。我々の提案する電気化学を最大活用した「都市型DAC-U(Direct Air Capture and Utilization)」システムは、都市のビル群をそのままCO2回収源として、ビルのユーティリティースペースでCO2を輸送・貯蔵可能な化学品原料に転換します。都市生活で私たちが排出したCO2が、再生可能エネルギーの力で、衣服など生活に不可欠な製品に生まれ変わるのです。これは、未来の都市型人工光合成ともいえましょう。
カーボンニュートラルの実現は、人類が全力で取り組むべき総力戦です。我々が開発する「都市型DAC-U」は、数ある取り組みの1つに過ぎませんが、カーボンニュートラル達成に向けた最後の重い扉を開ける強力な武器になると信じています。その実現には超えるべき課題が多くあります。しかし、私たちは、諦めません。2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、ぶれずに着実に取り組んでいきます。
お問い合わせ
プロジェクト技術関連・その他全般:国立大学法人東京大学 先端科学技術開発センター
Email ms-contact-group@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
産業連携・国際連携・契約関連:株式会社理研イノベーション
Email dacbunsan@innovation-riken.jp
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